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2005年11月 3日 (木)

冥界訪問 第四話

「冥界訪問 第四話」 藤かおり

注:第一話から第三話までは「鬼愛」に組み込んで公開されました。主人公の春駒は「夢渡り」であり、夢を媒介として死者の世界にまで旅することができます。春駒が現実世界で飼っている猫の名前は「亀」といい、それは、横浜のみなとみらいに近い岩亀稲荷のそばで拾ってきたのが理由です。岩亀稲荷は岩亀楼という明治時代の遊廓と深く関係しています。亀は、岩亀稲荷のお使いらしく、夢の世界では人の言葉を話し、春駒を支え導く存在なのです。


 頭を抱えたくなるような依頼だった。
 依頼人の話を聞き終わった春駒は、依頼人が立ち去った後も、そのまま駅のベンチに座り込んでいた。
「わたしに何ができるっていうの?」
 右手の親指の爪を噛み噛み、春駒は亀に恨み言を垂れた。
「何にもできないかも知れませんがね。まあ、その時はしかたがないですよ」
「しかたがない、で済めばいいけど・・・そういう問題じゃないんじゃない?」
「春駒さんが責任を感じることではないですよ」
「それはそうなんだけど」
 はっきりと断ればよかったと、春駒は後悔していた。

 半年以上、意識をなくしたままの息子を夢の中で探して、できれば目を覚まさせて欲しい。
 これが今回の依頼の内容だった。
 春駒の家の近く、戸部という京急の駅のホームで依頼人と落ちあい、そのまま駅のベンチで話を聞いた。
 依頼人の息子は二十二歳。半年前、失恋を理由に自殺未遂を図り、そのまま意識不明の状態が続いているのだと言う。
「時折、夢に出てくるんですよ」
 依頼人は、涙ながらに春駒に訴えた。
「名前を呼ぶと、振り向くんです。でも、私には気づかない。そしてそのまま、連れ去られてしまうんですよ」
「連れ去られる、と言いますと?」
 幼子でもあるまいに、妙な物言いだと思って春駒は聞きかえした。
「髪が長いので女だと思うんです・・・その女が、博文(ひろふみ)の手を引いてどこかへ連れて行ってしまうんです」
 息子の名前は、博文と言うらしい。
「その女の人というのは、失恋したお相手ではない?」
「ええ・・・何と言うか、もっと、博文よりも年上の女のように感じるんです」

 「では―――」
 博文と付き合っていたのはもっと若い娘だったのか、と聞こうとしたが、亀が太ももの辺りを引っ掻いたので、春駒は口をつぐんだ。
(変なこと、質問しないように)
 亀が目でたしなめ、そのまま後を引き継いだ。
「では、春駒さんに行ってもらって何をしましょうか」
「できれば、あの子を連れ戻して欲しいんです」
「連れ戻すとは」
「意識を取り戻させてくれませんか」
「そ、それは難しいと思います!」
 春駒は思わず、声を上げた。それは医者か何かの領分で、夢渡りの領分ではない。
「ではせめて、私のほうを向かせてください。私の顔を見れば、きっとあの子は帰ってきてくれると思うんです」
「・・・」
 それはどうだろうと、春駒は思う。生きるのが辛くて死を望み、現在も本人が望んで夢の世界に留まっているのだから、母親の顔を見たくらいで気が変わるとは思えないのだが。
「お願いします、もう、他に頼るところはないんです」
 依頼人はガバッと立ち上がったかと思うと、駅のホームに土下座した。
「や、やめてください」
 人から土下座されるのも、それを駅のホームでやられるのも恥ずかしい。周りの人がチラチラとこちらの様子を伺っているのを全身に感じて、春駒は逃げ出してしまいたくなった。
「何とか努力はしますから」
 そう言って何とか依頼人をベンチに座らせると、依頼人は
「お願いします、お願いします」
 そう何度も繰り返しては、春駒の手を握りしめた。

   *

「何か、嵌められたって気がしないでもない・・・」
 不本意な依頼の受け方をしてしまい、春駒は機嫌が悪い。春駒がどう断っても、あの依頼人は、春駒がうんと言うまで土下座し続けていたに違いなく、そこにつけ込まれたかのような気分である。
「駄目なら駄目で、ごめんなさいと言えばいいんですから。深く考えないことですよ。やるだけやりましょう」
 亀は右手で顔を洗いながら、気楽な調子で言う。
「あんたって、ポジティブシンキングなのね」
 春駒のほうは、今から謝る場面を想像して、いささか憂鬱になっているというのに。
「もしかしたら、巧くいくかもしれないでしょう?」
「いくわけないよ!」
「一つお忘れのようですが、巧くいこうがいかなかろうが、春駒さんには事実を確かめることはできないんですよ」
「う」
 それはそうなのだ。現実世界での結果がどうなったかということは、夢の中でしか依頼人と接触を持たない春駒には、確かめようがないことなのである。
「所詮は夢の中、せめて夢の中では希望を持たせてあげてもいいんじゃないですか」
 今度は左手で念入りに顔を洗いながら、亀は付け加えた。
「でも、それじゃあ、夢から醒めたらもっと辛い」
 夢という温かい湯船が心地良ければ心地良いほど、現実世界は身を切る冷たい風となる。
「博文さんという方も、それがわかっているから帰らないのかも知れないですけどね」
 そうなのかも知れない。
 なのに、そこから無理に追い出してしまうのはどうなのか、それが本当に母と子の幸せにつながるのかどうか、春駒は疑問を感じているのであるが。
「そこから先は、夢渡りの関知するところではないですよ」
 依頼されたことを淡々とこなしましょう、顔を洗い終わった亀は、そう言って大きく伸びをすると、ぴょんとベンチから飛び降りた。
「ビジネスライクだね、亀は・・・」
 春駒は一つため息をつくと、亀に続いて立ち上がり、改札への階段を下りた。

   ***

 北風が冷たい。ビルとビルの境目の日なたを、浮き島を渡り歩くようにして、春駒と亀は玄亀横町へと向かう。
 現実世界では十分もかからないのに、なぜか今日はなかなか辿り着かない。桜木町のほうへ向かって歩いているはずなのに、どういうわけか、横浜駅の西口へ出てしまう。
「あれ?またモアーズだ」
 幹線道路へ出るはずの階段を上がると、また駅前のデパートの横へ戻っていた。
「春駒さん、気乗りがしないんでしょう?」
 亀が、からかうような口調で話しかけてくる。
「そんなことはないけど・・・どっちかと言うと、早く終わらせたい気分なんですけど」
「でも、春駒さんの夢は、玄亀横町に近づきたくないみたいですね」
「知らないよ、わざとじゃないもの」
「じゃあ、こっちに行きますよ」
 亀はおもむろに春駒の方に向き直ると、タクシー乗り場をいきなり突っ切り始めた。気の荒いタクシー運転手がクラクションを鳴らす。
 肩をすくめながら亀の後を追いかけると、亀は駅前の大きなホテルのエントランスに入っていった。
「どこに行くの?」
「玄亀横町へ」
 亀は振り向きもせずに応えると、尻尾をピンと起てながら、どんどん歩いてゆく。猫と連れ立って歩いている春駒を誰も見とがめることがないのが、いかにも夢らしい。
 エレベータホールまで来て、亀は足を止めた。
「上を押してください」
 言われるがままにボタンを押すと、エレベータの扉はすぐに開いた。

 エレベータに乗り込むと、なぜか外が見えるようにガラス張りになっている。現実世界では、このホテルのエレベータは外を見ることができない。別の建物のエレベータの記憶が、そっくり使われているのだろう。薄曇りの空と、鉛色の海が見える。海面を、貨物船の軌跡が弧を描いて切り取ってゆく。
 エレベータは二十三階で止まった。扉が開くと、そこはもう、玄亀横町だった。
「便利だね、これ。次もこれで行こうよ」
「どうして春駒さんは、楽しようとばかり考えるんですかね」
「人間だから」
 軽口を叩いてみるが、春駒は一向に気が乗らない。
「あ〜、本当に行くのか・・・」
 玄亀稲荷の開き戸の前で足を止めた春駒は、大きなため息をついた。
「まだそんなことを・・・ほら、頂いた髪の毛を出して」
 亀に急かされ、春駒は、のろのろと懐から依頼人の髪の毛を取り出した。左の手首に巻き付けてみると、結ぶには長さがギリギリだ。
「取れないかな、大丈夫かな」
「そんな言い訳は無用ですよ」
 春駒の腹の底を見透かしたように、亀は耳を後ろに倒してきつい口調で言った。春駒の行動が鈍いので、イライラしてきたらしい。尻尾を左右に振りまくっている。
「はいはい、行きますよ」
 春駒は大きく深呼吸すると、玄亀稲荷の開き戸を両手で押し開けた。

 薄暗い。
 石畳は濡れて、気をつけないと足を滑らしそうだ。

 立ち並ぶ赤い鳥居の両側には、長く放って置かれた白木のような色をした笹の葉が、霧雨に重く濡れている。
―――どうして、いつもここには霧雨が降っているのだろう。
 そんなことを思いながら、先を行く亀の尻尾を見つめて歩く。
 やがて視点が浮き上がるような感覚を覚え、春駒は明るい光の中へと吸い込まれていった。

   *

 忙しなくかぎ針を動かして、編み物をしていた。小さなケープのようなものを編んでいるようだ。
 情況が掴めなくて、春駒は一瞬戸惑ったが、お腹の辺りを見て納得がいった。これはたぶん、依頼人がまだ息子を腹に宿している頃の夢なのだ。
 時折、お腹をゆっくりと撫で回す。急にお腹の中が「ボコン」と動いて、春駒はびっくりした。
「お返事してくれたのね、いい子、いい子」
 春駒がお邪魔している人物は、そう言って幸せな気分に浸っている。
―――赤ちゃんができるって、そんなに幸せなことなんだ。
 結婚も妊娠もしたことのない春駒には、よくわからない気持ちだ。が、悪い気分ではない。
 自分の母親も、春駒をお腹に入れているときは、こんな気持ちだったのだろうか。そう思っていると、依頼人はゆっくりと立ち上がり、部屋のドアを開けた。

 ドアを抜けると、場面は一転した。
 いくつもベッドが並んだ大きな部屋にいて、依頼人はベッドの端に両手をついて、誰かに腰をさすってもらっている。
「由美子、少し横になりなさい」
 そう声をかけられ、依頼人はヨロヨロとベッドに横たわった。依頼人の名前は、ゆみこと言うらしい。
 数分ウトウトしていたかと思うと、急に腰の辺りを思い切り殴られているような感覚が襲ってきた。
 いてもたってもいられない。痛みというより、衝撃だ。由美子は身体を小さく丸め、震えながらうめき声を上げた。お邪魔している春駒にも、同じ苦しみが襲う。
「ほらほら、息を詰めちゃ駄目よ、大きく息を吐いて」
 さっきと同じように、誰かが腰をさすって話しかける。だが、息を吐けと言われても、身体のほうは力を入れたくてたまらないのだ。
 やがてその苦しさが、波が引くように消えていく。これが噂に聞く陣痛かと、春駒は恨めしい思いで合点した。
 何故、他人様の夢に来てこんな目に遭わなくてはならないのか。自分の意思で妊娠したならまだしも、夢渡りをしていて、陣痛に耐えなくてはならないとは。
 さっきから腰をさすっているのは、由美子の母親のようだ。ベッドの上にあるコードの先を押して、何か喋っている。
 ほどなくして、ベッドの横に「白いもの」が来た。
「橋本さ〜ん、破水しちゃいましたからね、分娩室に行きますよ」
 そう言われてお尻の辺りに気をやると、確かに太ももの間が濡れている。
 「白いもの」はそう言って由美子の脇の下に手を差し込み、半ば強制的に起き上がらせた。この「白いもの」は、看護士のようである。

 分娩室とやらに行く間にも、陣痛はやってきた。
―――いっそ、死にたい・・・
 由美子と一緒になって出産に臨んでいる春駒は、本来の目的のことなどすっかり忘れ,ただ事が終わるのを絶望的な気分で待ち続けた。

   ***

 いつの間にか、小さな子供と手をつないでいた。
 肝心のクライマックスである出産の場面はすっぽ抜けて、すでに子供は一人歩きをしている。
 危ういバランスでよたよたと歩く幼子の手をしっかりと握った由美子は、何とも幸せそうな気持ちで我が子の様子を見つめていた。この子が、博文なのだろう。
―――あんな目に遭わせておいて、感動の出産シーンはカットなの?
 春駒は、ちょっとむくれている。

 由美子の夢は目まぐるしく変化した。高熱を出して、痙攣している博文を抱きかかえて救急病院へと駆け込む冬の夜、父親とサッカーボールを蹴って遊ぶ夏休み、飼い犬の散歩の途中で転び、骨折してギプスをはめた博文を泣きながら抱く由美子。大学受験の前夜にも熱を出して両親をやきもきさせたかと思うと、博文はまたハイハイをする赤ん坊に戻る。
 現実世界の博文はもう成人しているはずなのに、由美子の夢の中に登場する博文の姿は,ほとんどが小さい頃のものばかりだ。子供というものは、母親にとってはいつまでたっても子供だ、というような話を聞いたことがあるが、由美子の夢はまさに、博文の幼い面影を追い続けている。
 こうやって愛おしんで育てた息子が自ら命を絶とうとしたという事実を、由美子はどう受け止めたのだろうか。恐らく、死を選んだ息子の想いよりも、息子に死を選ばせるきっかけとなった女の存在を責めたことだろう。

 亀はどうしているのかというと、きっとこの家には犬がいるからだろう、全く姿を見せない。
―――まあ、そのうち大事な場面で現れてくれるよね。
 まさか、犬が嫌だと言って逃げ出すわけでもないだろう、春駒はそう考えて、気にしない事にした。
 博文は大学に進学するのと同時に、一人暮らしを始めた。そして幾ばくも経たないうちに同棲を始め、そのことが由美子を苦しめていたようだ。
 由美子は、どちらかと言うと引っ込み思案だった博文が、女性と何らかの関係を持つということをどうしても受け入れることができなかった。
―――お年頃なんだし、彼女の一人や二人、いたって不思議じゃないのに。
 春駒はそう思うのだが、由美子にとっては、可愛い子供だった博文が誰かに「男性」として扱われることに我慢がならないようだ。肉体関係はおろか、女性が近づくこと自体に嫌悪感を抱いている。

 博文が一人暮らしを始めた当初から、由美子は合鍵を持っていたらしい。博文に気づかれないよう、何度か勝手に入り込んでは引き出しを漁ってみたり、郵便物の宛名をチェックしたりと、かなり偏執狂的な行動をとっていた。
 博文が同棲を始める前から、由美子は女の存在を嗅ぎ付けていた。だがさすがにそのことを博文に問い質すことはせず、同棲が始まってから、由美子はいきなり強硬手段に出た。
 ある日、合鍵を持って博文の部屋へ入り、そこにいた同棲相手の女性をつかまえて激しくなじったのだ。
「悪いけど、一刻も早く荷物をまとめて出て行ってちょうだい」
 家賃を払っているのはこちらのほうなのだから、お前のようなどこの馬の骨とも知れない女がここに住む権利などない、男にぶら下がる汚らわしい女だ、由美子はそう言って封筒に入った金を突き出した。
 博文がいなくて同棲相手だけがいそうな時間を見計らって訪問し、自分の存在を隠したまま、同棲を解消させようと目論んだのだ。
―――この女(ひと)、怖い。
 いくら息子が可愛いからと言って、その恋愛にまで口を出そうとする由美子の心が、春駒にはどうしても理解できない。しかし由美子の中ではそうするとこが当然であり、むしろ博文を守っていると信じて疑わない。
 これが、同棲相手が人妻であるとか、金銭目的なのが明白だったりすれば春駒だって納得もできるが、彼女は博文と同じくらいの年頃で、どうやら学生ではなく、働いているようなのだ。
 由美子はさらに、善くない手段を使って追い打ちをかけた。
「面と向かって別れたいと言うのが、あの子は優しいから辛いのよ。だから私が代わりに言いに来たのよ」
 これは、とんでもない大嘘なのだ。由美子にお邪魔している春駒には「嘘をついている自覚」がひしひしと伝わってくるので、それがわかる。
 同棲相手の女性は、由美子が踏み込んできたことにも驚いていたが、この発言にはもの凄いショックを受けたようだ。
―――信じちゃ駄目よ、こんな嘘!
 春駒はそう伝えてやりたいが、何もできない。彼女が由美子の言葉などに惑わされないことを祈るしかないが・・・

 彼女は、由美子から出されたお金は突き返した。しかし、彼女の中で何かが起きていることは間違いがない。真っ青な顔で由美子を見つめ、握りしめた手は震えている。
 由美子が心の中で「してやったり」と感じているのが伝わってきて、春駒は何ともやりきれない気持ちになった。
―――何でわたし、こんな女にお邪魔してるんだろう。
 博文がお腹にいるときからの夢を共有してきただけに、春駒は由美子の心のありようが悲しかった。我が子の成長を受け入れられず、かえって我が子を苦しめるような行動をとってしまう・・・そして、それが善くないことだとは気づかない。
 自分も母親になったら、気づかないうちにこんな風になってしまうものなのだろうか。それはあまりにも悲しいと、そんな母親にはなりたくないと春駒は思う。

   *

 由美子の行動は、由美子が期待していた以上の結果を引き起こすことになった。同棲は解消されたものの、恐らくそれが原因だったのだろう、最愛の息子である博文は自殺を図った。
 目撃者の証言によると、ある日博文は往来の激しい国道にふらふらと歩き出た。緩い上り坂になっていたその道でスピードを出していたトラックが、突然道路の真ん中に出現した博文を避けきれず、引っ掛けるようにして跳ね飛ばしたのだそうである。

 それが自殺なのかそうでないのかは本人しか知らないことだが、博文の友人達は口を揃えて「自殺するつもりだったのだろう」と家族に告げた。
 同棲していた女性が家を出て行った日から博文は大学の授業も欠席し、友人が電話をしても出ず、心配した何人かで家を訪ねてみると、博文はカーテンを閉め切った部屋の中でぼんやりと座っていたという。
 どうしたのかと訊ねるとただひと言、
「終わった」
 とだけ応え、後は何ひとつ語らなかった。
 ただ部屋の様子から、同棲相手が出て行ったことは伺い知れたらしい。そこで、博文と同棲していた女性を知る者が直接彼女に問い質すと、彼女のほうも
「もう終わったことだから」
 としか応えてくれなかったそうである。
 二人の間に何が話されたのか、どういう決着がついたのかはわからない。
 そして友人達が博文の家を訪問してから何日も経たないうちに、事故は起こったのであった。

 自失してふらふらと彷徨っているうちに道路に出てしまった、という可能性もあるので、事故なのか自殺なのかでやや揉めた。だが、大目に見たって「消極的な自殺」だろうと春駒は思う。
 由美子の独断でしでかしたことは、結果的には我が子を最悪の状態へと導いてしまった。
 トラックに引っ掛けられた博文は頭部を強打し、意識不明となった。酸素マスクをつけた博文の身体に縋り付いて、由美子は、
「どうして、どうして」
 と泣き喚き続けている。
―――どうしてもこうしてもないでしょうに。
 由美子と一緒に博文の成長を見守ってきた春駒にとっても、この痛々しい姿は心を苦しくさせる。
 満面の笑顔で「ママ,ママ」と縋り付いてきた幼い博文の姿が、機械に囲まれた博文の姿に重なる。
―――あなたが余計なことをしたからじゃない。ああ、こんな姿になっちゃって・・・
 涙が、自然にこぼれてきた。他人の夢の中で泣くなどという芸当ができるとは春駒も思っていなかったので、泣いている自分に気づいた春駒はちょっと驚いた。

   ***

 それからの由美子の夢は、ただひたすら、博文の姿を探しまわるものになった。
 現実世界では、きっと由美子は病院へ通ったり、夫の生活の世話をしたりしているのだろう。しかし春駒がお邪魔している夢の中は、意思を持って話し、立ち、歩き、笑う博文を探し求める放浪の連続である。
 博文と似たような後ろ姿を見つけると、由美子はあらん限りの声を張り上げて名を呼び、駆け寄っていく。
 しかし由美子の夢は常に由美子自身の期待を裏切り、振り返った男は赤の他人なのである。

 別のバージョンの夢では、あの同棲相手が登場する。由美子は彼女を口汚く罵り、
「お前が博文の前に現れさえしなければ、こんなことにはならなかった」
 と責め立てる。そして春駒が震え上がったことには、由美子は彼女の首を締め、殺そうとするのであった。
 渾身の力で彼女の首を締め上げると、白い喉はまるで粘土細工であるかのように、由美子の親指がどんどん埋まってゆく。
 はじめは由美子の両手を引っ掻いて抵抗していた彼女の力が弱まり、喉の奥がうがいをするような音をたて始める。身体は大きく波打ち、由美子の身体もそれに合わせてバウンドした。
 彼女の口元からだらだらと涎がこぼれ、舌がはみ出てくる。固く瞑っていたはずの両目は白目を剥き始め、由美子がさらに締め上げると、彼女は「きゅう」というような音をたて、動かなくなるのだ。
 
 この夢を見させられるたびに、春駒は早く由美子から抜け出したいと切に願う。が、きっとこの夢は由美子の願望なのだろう、博文を探しまわる夢に挟まれながら、幾度となく現れた。
 そして肝心の依頼の内容である「博文が誰かと連れ立ってどこかへ行ってしまう」夢は、待てど暮らせど出てこない。
 由美子の話しぶりでは、そういう内容の夢を繰り返し見ているようだったが。亀に相談したいが、相変わらず亀は雲隠れしたままである。

   *

 この日の夢も長かった。
 由美子は、春駒の知らない街を彷徨い歩く。そして傷ついて針が跳ぶレコードのように、
「博文、博文」
 と我が子の名前を繰り返す。現実世界でこれをやっていたら、間違いなく警察に保護されるだろう。そんなことを思いながら、春駒は由美子の中から周りの景色をぼんやりと眺めていた。

 気がつくと、何となく見たことのある場所にいた。
 狭い歩道と、茶色く汚れた中華料理店のガラス窓。コンビニの正面の横断歩道を渡ると、そこは玄亀横町だった。
―――何でここに来たんだろう?
 自分の夢でも混じったのかと、春駒は思った。なぜなら、由美子や博文が住む街は春駒が全く知らない場所だったし、今までの由美子の夢の中に、春駒の住む横浜の風景は一度として現れなかったからだ。
 全く脈絡のない場所や知らない場所が夢に現れることはある。だが、現実に存在する玄亀横町が由美子の夢の中で再現されているのは、何だか不思議な気がした。

「博文!」
 突然、由美子は叫んだ。横町の真ん中、ちょうど玄亀稲荷の辺りに、博文らしき男がこちらに背を向けて立っている。
 由美子は駆け出し、その男の背中に向かって手を差し伸べる。その後ろ姿を、春駒は見ていた。

「ええ?!」
 由美子の後ろ姿が見えるのはおかしい。春駒は慌てて由美子の後を追った。
「ない!髪の毛がない!」
 手首に結んでいたはずの由美子の髪の毛が、いつの間にかなくなっている。
―――いつ解けたんだろう?どうしよう、亀!
 いつか亀が言っていた警告が脳裏をよぎる。
「夢渡りの途中で拠り所を無くすと、夢を渡ることができなくなりますからね。夢が渡れないということは、帰る道が見つけられなくなるということです。だから、夢渡りの最中に拠り所を無くさないよう、気をつけてくださいよ」
 拠り所とは、依頼人の身体の一部である。このままでは、春駒は由美子の夢からも自分の夢からもはぐれ、元に戻れなくなってしまうのだ。
「亀、亀!どこにいるの?亀!」
 必死で亀を呼び、由美子を見失わないように走る。だが、まるで空気が泥の海にでもなったかのように、いくら前に進もうとしても身体が重くて進まないのだ。

 いつの間にか博文は誰かと腕を組んで歩き出し、玄亀稲荷の開き戸を押し開けていた。由美子の姿は、ない。
「待って!博文さん、行かないで!」
 春駒はありったけの大声で博文に呼びかけた。すると、博文の隣にいる人物がゆっくりと振り向いた。
 そして、春駒の眼を見て嗤った。

   *

「・・・え?」
 嗤っているのは、由美子だった。それも二十三歳の息子を持つ母としての顔ではなく、もっと若い「女」の顔で嗤っていた。
 さっきまで博文のことを追いかけていたはずの由美子が、いつの間にか若くなって博文と腕を組んでいる。そして、玄亀稲荷へと入っていこうとしている。
「ゆ、由美子さん、何やってるの?いったい、どうなってるの?」
 混乱した頭で、春駒は由美子に叫ぶ。そんな春駒に向かって由美子は、
「もう、来なくていいわ。あなたは邪魔よ」
 そう言い放った。
 何が起きているのかも、どうしたら良いのかも春駒にはわからない。戸惑いのあまり足を止めた春駒の背後から、
「惑わされないで、そのまま進んで!」
 亀が横町の入り口から走りよってくるのが見えた。

 それを見た由美子は、慌てたように博文の腕を強く掴むと、玄亀稲荷へと引っ張り込んだ。
「春駒さん、あの二人を行かせてはいけない!」
 亀が追いついてきて、春駒を抜き去る。その瞬間、春駒の周囲の空気が突然軽くなり、前に進めるようになった。
 由美子と博文、そして亀の後を追って春駒は玄亀稲荷へ駆け込む。参道はすでに、霧雨に包まれていた。
 
 亀は先を行く由美子と博文の横をすり抜けると、二人の前に立ち塞がった。
「いけませんね、由美子さん。ここにはここの、約束事があるのですよ」
「関係ないわ」
亀と由美子は、お互いに睨み合った。
「亀!これはいったい、どうなってるの?」
 やっと全員に追いついた春駒は、息を切らせながら亀に問うた。
「この女(ひと)は、あなたを利用して博文さんを捕らえようとしている」
「利用して、捕らえる?」
「夢渡りであるあなたに入ってもらって、博文さんを自分の夢の中で見つける。そして博文さんと一緒に玄亀稲荷を通り、別の場所に逃げるつもりです」
「に、逃げるってどこへ・・・」
「誰にも邪魔されないところよ」
 由美子が突然、口を開いた。
「博文は、誰にも渡さない。誰も私たちを知らないところへ行くのよ」
 まるで博文が恋人であるかのように、由美子は博文の腕にしなだれかかった。
「それはあなたの身勝手だ。そうしたいと思うのは勝手ですが、ここを通ることは、私が許しません」
 亀は耳を後ろに倒して、全身を緊張させながら由美子に対峙している。
「さあ、博文さんのものを返しなさい」
 亀は、毛を逆立てながらじりじりと由美子に近づいた。由美子も、背後の春駒との距離を気にしながら、亀の動きに合わせて徐々に後ろに下がる。博文はぼうっとして、なすがままの状態だ。

「これは、これは私のものよ!」
 由美子は胸に手を当てて叫ぶと、一歩大きく踏み出して亀の腹を思い切り蹴り上げた。亀は「ギャッ!」と声を上げて、参道の奥へと吹っ飛ばされていく。
「あんた、あたしの猫に何すんのよ!」
 亀を蹴飛ばされてカッとなった春駒は、我を忘れて由美子に飛びかかった。 小さな生きものを足蹴にするなど、ましてや自分の飼い猫を蹴飛ばすなど、春駒には到底許せなかった。
「離してよ!」
「亀に謝んなさいよ!」
 由美子と春駒は、取っ組み合い始めた。が、小柄な春駒に比べ、由美子は思いのほか力が強かった。
 春駒は固い石畳に組み伏せられた。そして由美子の両手が、春駒の首にかかった。
―――あの夢と同じだ・・・
 幾度となく由美子の夢の中で繰り返された絞殺の場面が、今度は由美子を目の前にして再現されている。
 由美子の両手を剥がそうと爪を立てるが、由美子の親指は容赦なく春駒の首に食い込んできた。
 無性に咳がしたい。唾液が耳の後ろに溜まっていくようで、息苦しい。口の端から顎に向かって、唾液が垂れていくのがわかる。自分の喉がゴロゴロと妙な音をたてるのが聞こえた。視界が狭まってゆく。

「やめてよ、ママ」
 囁くような声が聞こえた気がした。
「そんなことしないでよ、僕は嫌だよ、ママ」
 由美子の手の力が一瞬緩む。春駒は大いに噎せ返りながら身体を反転させようともがいた。
 狭まった視界の中で、何か茶色いものが自分の上を通り過ぎるのを春駒は見たような気がした。

 ボサッというような音が参道に響いた。
「その人を離せ」
 亀が少し離れた場所で仁王立ちになっている。左前足で白い小さな箱を押さえ込んで、由美子のほうを睨んでいた。
「返せ!」
 亀が持っている箱を目にした由美子は、今度は亀に向かって飛びかかっていた。が、亀は箱をくわえるとヒラリと身を躱し、横倒しになっている博文の身体の後ろに廻った。さっきのボサッという音は博文が倒れた音だったらしい。
 春駒は喉をヒューヒュー鳴らして噎せ、水を飲むかのように空気を吸い込んだ。亀はというと、あの白い箱をくわえたまま、するりするりと由美子の手をすり抜けて逃げ続けている。
「返して!お願いよ」
 亀を捕らえられないとわかると、由美子は哀願し始めた。
「ねえ、大事なものなの。もうこの世に一つしかないのよ、それは。いい子だから、おとなしく返して頂戴」
 濡れた石畳に膝をつき、すすり泣きながら由美子は亀に訴えた。
―――あの箱、いったい何が入っているんだろう・・・
 春駒にはただの木箱にしか見えないのだが、由美子にとっては倒れている博文そのものよりも大切なものらしい。由美子は四つん這いになって亀ににじり寄っていくのだが、博文の身体をまるで庭石でも乗り越えるようにして踏みつけていった。

 亀は参道の脇に生えている木の枝を身軽に伝い登ると、くわえていた箱を木の幹の上に置いて前足で押さえ、
「あなたは、それほど大事にしていた、この世に一つしかないものの使いかたを間違いましたね。その報いは、受けてもらうしかないのですよ」
 まるで最後通牒を突きつけるかのような口調で、由美子に言い放った。そして箱を開けると、その中から紙に包まれた何かを取り出し、口にくわえた。
「何をするの!やめて!私に返して!それを返してよ、お願い!」
 由美子は、亀が登っている木に縋りついて哀願した。
 春駒にも、その箱に入っているものが何なのかやっとわかった。春駒も、母親に自分のものを見せてもらったことがある。小さな桐の箱に入ったそれは、かつて博文と由美子を一つの身体につなぎ止めていた臍の緒だ。
 亀は、由美子の哀願には全く耳を貸さず、微かに首を振ったかと思うと、その小さな包みを高く放り投げた。
「返して!」
 由美子も春駒も、その軌跡を眼で追った。
 それは闇の中に浮かび上がり、一度眼を射るような光を放ったかと思うと、白い砂のようになって由美子と春駒の上に振り注いだ。
「ああ・・・」
 あとには、何も残らなかった。
 木に縋り付いていたはずの由美子も、石畳に横たわっていたはずの博文の姿も、いつの間にか消えていた。

   ***

 亀が、木からゆっくりと降りてきた。よく見れば、亀の登っていた木には白い御幣のついたしめ縄が巻いてあった。
「いったい・・・何が起きたの?」
 春駒は事態がよく飲み込めず、ぼんやりと呟いた。
「由美子さんと博文さん・・・どこに行っちゃったの?」
「拠り所を失って、由美子さんはどこかに彷徨い出てしまったんでしょうね」
 亀は身繕いをしながら応えた。
「拠り所・・・博文さんの臍の緒・・・」
「そう。由美子さんはそれをずっと身に付けていた。そして自分の中に入っている春駒さんの夢の残り香を辿って、ここを探り当てた」
「そんなこと、できるの?」
 由美子の夢にお邪魔している春駒の、その夢をまた利用するなどという七面倒くさいことが、本当にできるものなのだろうか。
「由美子さんには、もともと夢渡りの素養があったのでしょうね。それを知った誰かが、善意か悪意かは知りませんが、愛しい息子を永遠に手に入れる方法を由美子さんに指南した」
「永遠に手に入れる・・・」
「息子の夢に滑り込んで、手に手を取り合って、この玄亀稲荷からどこかへ行こうとしていたようですが」
 それが、息子を永遠に手に入れることになるのだろうか。
「現実世界でどうなるかは知りませんが、由美子さんの気持ちの中では、それで満足だったのでしょう。でも、それは博文さんの望むことではなかった」
「さっき、博文さんの声が聞こえたような気がした」
 やめてよ、ママ、という声を、苦しい息の下で聞いたような覚えがある。
「他人様の首を締め上げている母親の姿など、見たくなかったでしょうね。そんなことまでして一緒に居てもらわなくてもいいと、ただ愛してくれさえすればいいのにと思ったのでしょう。だから、やめさせようとした。そのおかげで、あの箱を由美子さんから掠めとる隙ができたわけですが」
 そう言って、毛繕いを終えた亀はゆっくりと歩き始めた。

「博文さんはどこにいっちゃったの?」
 気がついた時には、博文の姿も消えていた。
「さあ・・・たぶん、自分の夢の中に戻ったんじゃないでしょうか」
 無責任な物言いだが、そこは亀の関知するところではないのだろうか。
「迷ってなければいいけどね」
 ここは玄亀稲荷、人々の夢が交差する幽玄の地なのだ。
「むしろ、この場所でことが済んでよかった。由美子さんの夢の中だったら、博文さんは自分の夢に戻る道が見つけられない」
「本当に、戻れるの?」
「もともと博文さんは、自分の夢から出たくなくて閉じこもっていたわけですから大丈夫でしょう。それに博文さんは、冥界の住人ですから」
「めいかい、って何よ」
 春駒の質問には応えずに、亀はどんどん先へ進む。春駒は足を速めて亀に追いつくと、矢継ぎ早に質問を重ねた。
「それに、由美子さんに方法を指南した、ってどういう意味?わたしを利用するよう、誰かが由美子さんにアドバイスしたってこと?そんなこと、誰ができるの?」
 春駒の質問攻めにうんざりしたのか、亀は大きなため息を一つついて振り向いた。
「相変わらず知りたがり屋さんですねぇ、春駒さんは」
「だって、すっきりしないんだもの」
 こんなにわからないことだらけでは、落ち着いて眠れなくなりそうだ。
「じゃあ、かいつまんで説明してあげますからね。でも、もう質問はこれで終わりですよ」
 春駒が頷くと、亀は尻尾を振り振り、
「博文さんは、生死の間を彷徨っているので冥界の住人です。由美子さんに、夢渡りの能力を利用して自分の息子と共に玄亀稲荷へ行け、と指示したのは、恐らく同業者。春駒さんと同じ夢渡りをしている誰かでしょう。でも、なぜそんなことを由美子さんに教えたのか、その意図は私にもわかりません。以上」
 諭すような言い方で一気に説明を述べると、亀はちょっと表情を和らげて言った。
「疲れたでしょう。もう、お休みの時間ですよ」

 ふと眼を上げると、そこには玄亀稲荷の祠があった。
 亀が、足元に擦り寄る。春駒は亀を抱き上げると、その首筋に頬を寄せた。
 
 温かい。
 春駒は亀の身体に吸い込まれるようにして、眠りに落ちた。

   ***

 くすぐったい。
 目が覚めると、飼い猫の亀の尻尾が顔の上に乗っかっていた。
「う〜ん・・・飼い主の顔にお尻を向けるとはどういうことよ・・・」
 右手で亀のお尻を押しのけて、そのまま手探りで顔を探した。鼻を探り当てると、湿った鼻から眼の間にかけてを指でなぞってやる。
 亀はゴロゴロと喉を鳴らした。

「今回の依頼、何の解決にもならなかったけど、あれでよかったのかな」
 亀はごろんとひっくり返って、喉を撫でるよう無言の指示を出した。喉を撫でると、心地よい振動が指に伝わってくる。
「わたしも男の子を産んだら、あの女(ひと)と同じようなことを考えるんだろうか」
 子供を愛するあまり、自分の価値観で子供の幸せの基準すらも決めてしまうような人間に、自分もなってしまうのだろうか。
 しかし、しばらく考えてから思い直した。そう、例えば両親は、自分たちの価値観だけを正しいものとして押し付けたりはしない。考えは人それぞれで、すべての母親が由美子と同じ道を辿るわけではないのだ。
「でも、由美子さんは博文さんのことがとっても心配だったんだよね。だから、自分のもとにずっと置いておきたかったんだ」
 好きな女性との関係を母親の由美子に壊されてしまった博文だけでなく、愛するあまりに、愛情の深さ故にその対象を不幸にしてしまった由美子も不幸なのだと、やっと気づいた。

「亀、外に行きたい?」
 事故が怖いから、迷って帰れなくなるのが怖いからと飼い猫を家に閉じ込めて飼っている自分も、由美子と同じことをしているのだろうか。
 亀は何も応えず、ただ喉を鳴らして眼を細めている。
 この温かさをずっと側に置いておきたいと切に願う、この気持ちが亀を不幸にしていませんように。
 そんなことを考えながら、ずっと亀の小さな頭を撫で続けていた。

                           了

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