理解不能
むかしカナダの大学院で勉強していたとき、隣のデスクにカナダ軍の中尉が座っていた。軍から派遣されてワームホールの研究をしていたのだ!
当時、ボクは少々平和ボケ気味だったが、彼と酒を呑みながら話をしていて、ハッとさせられる瞬間があった。
ボク「カナダは戦争をしないんだから、軍隊をなくせ、という意見はどう思う?」
中尉「なくしてもかまわないと思う。私は失業するけどね」
ボク「じゃあ、なぜカナダは軍隊をなくさないの」
中尉「軍隊は、一度廃止すると、再構築に10年かかる。ふだんは廃止していて、有事にすぐにつくることはできない。万が一、紛争になったときに、敵が10年待ってくれるなら話は別だがね」
科学技術の話もこれに似た側面がある。ある技術の開発を打ち切ると、再開してから何年も世界の最先端に追いつくことはできなくなってしまう。
資源のない日本が、これまで世界と伍してやってこられたのには訳がある。科学技術で世界に遅れをとって、どこに活路を見いだすというのか。
それにしても、今回、(報道を信ずるのであれば)金田教授と松井教授がともにスパコンを無用と断じたのには、少なからず驚かされた。お二人とも日本のスパコン開発の恩恵を受けてきたのではなかったのか。
それとも、お二人とも、あまりに専門領域が狭すぎて、自らの分野とズレている研究は「要らない」ということなのか。
松井教授には、以前、日立の対談でお世話になったことがあるが、今回の発言の真意がどこにあるのか、正直言って、理解できない。
金田教授は、以前、科学新書の編集者Aさんが「スパコンとπの本を書いてもらえないか」と電話で打診したところ、「なぜ僕が書かなくちゃいけないの」と、いきなり電話を切ってしまったそうで、国民に「伝える」義務も感じてない人なんだなぁ、変人だなぁ、という印象があったが・・・理解不能である。
科学技術立国日本の思わぬ「迷走」ぶりに、アメリカと中国は腹を抱えて嗤っているにちがいない・・・。
(註:現在、日本最速のスパコンは世界22位まで後退してしまっている。)
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