科学のダークサイドを書く
ここ数年、サイエンスライターをやっていて嫌なことが立て続けに起きた。高飛車で人格が破綻している科学者にも大勢出会った。サイエンスライターを「無料宣伝係」として「使う」だけの大学教授も多い。
20年間、「科学応援団」として地道に活動してきたが、自分の中での葛藤が大きくなりすぎて、ここら辺で科学(者)のダークサイドを書かないと、もう仕事が続けられないことに気がついた。
たとえば、猫好きを公言して、ペットの殺処分をゼロにしようと努力しながら、一方で動物実験を無条件に認めるのは欺瞞だ。単に友人や知人が日常的に動物実験をやっているから黙っていただけなのであり、常に自分の心にウソをつき続けてきた。
一部の科学者や大学教授たちの、人を人とも思わないような振る舞いにも、そろそろ愛想がつきかけている。
科学は決してバラ色ばかりじゃないし、ダークサイドも描かなくてはならない。最近、そんな心境になりつつある。
ただ、本を書く以上、個人的な恨み節では仕方がない。問題は、自分の心の苦しみや葛藤を「読者が読んで損をしない本」に昇華させることができるかどうかだ。それができなければプロ失格だし、出版する価値はない。
サイエンスライター生活20年、100冊目の本が、科学を批判的に考察する本になろうとは、夢にも思わなかった。
「でくのぼう」の「無料宣伝係」が書く科学批判の書は、いったい、どんなものになるのだろうか・・・。
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