ある読者への手紙
ある読者から、カルデロンさん一家に対する私の発言が「甘いのでは」というご意見をいただいた。実を言えば、ラジオでのコメントも、バッシングを受けないよう、僕を心配してくれるスタッフから何度も忠告を受けていたのだ。
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そう、おそらく僕は甘いのだ。なぜなら、僕は昔から人に勝つことをしてこなかったから。自分だけ出世して、いい思いをしようと考えたこともない。
なぜ、自分がそうなのかわからない。でも、いつも気がつくと、僕はつらい想いをしている人に「共感」してしまい、自分もつらくなってしまう。殺される犬や猫にだって、実験動物にだって「共感」してしまい、すごく苦しい。
でも、他人に競り勝って、自分の権力や資力をたくわえてこなかった結果、カルデロン一家にしても、殺処分されてしまう犬や猫にしても、直接助けることはできない。そう、おそらく、それこそが僕の最大の甘さなのだろう。
僕の活動は大勢の読者に支えられている。僕はいつも、自分の心の痛みを素直に読者に語りかけてきた。
それを読んで「甘い」とバカにする人もいるだろうし、「社会ってものがわかっていない未熟者」と蔑む人もいるだろうし、単純に「きれいごとを言うな」と怒る人もいるだろう。
それはしかたないことだ。世の中にはいろいろな性格、境遇の人がいるのだから。
僕は、これまでも、これからも、まず身近な家族の幸福を考え、それから友人や仕事仲間、読者やリスナーの幸福を考え、みんなが幸せになれるよう、自分のできる範囲で、無理をせず、「共感」してしまう自分の心に正直に生きていきたい。
人々がみんな他人に「厳しい」社会、「大人」の社会って、本当に暮らしやすいのだろうか。何かいいことがあるのだろうか。僕は今の日本の精神状況に、得体のしれない「怖さ」を感じている。でも、その正体がなんなのか、まだ、わからない・・・。
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