インフルエンザ再考
本日は「公研」という雑誌で国立感染症研究所の岡田晴恵さんと対談。
JAM THE WORLDのゲストとしても二回、来ていただいたが、今回は1時間半にわたって新型インフルエンザの「裏事情」を詳しく伺うことができた。
以下、私の文責で論点をまとめてみたい。
1 厚生労働省が出している死者17−64万人という数字は、過去の弱毒性インフルエンザの致死率を元に算出した数字であり、強毒性のH5N1型にあてはめるのは科学的・論理的とはいえない。
2 プレパンデミック・ワクチンで対処するスイスと、パンでミックワクチンで対処するアメリカ・カナダのちがいは、ヨーロッパの真ん中で「隔離・籠城」ができないスイスと、国土が広大で自給自足の生活が比較的可能なアメリカ・カナダの国情のちがいから来ている。
3 日本はスイス型のほうが向いているが、今の計画では、来年になっても3千万人分しか用意できない。アメリカ型にしようとしても、今の日本のワクチン製造技術では、スピードが確保できず、いつまでに何人分という確約ができない。
4 一人あたり千円でプレパンデミック・ワクチンは受けられる計算だが、現状では、いくらお金を出してもプレパンデミック・ワクチンは一般人には回ってこない。
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まず、64万人という論理破綻した推計を撤回し、アメリカのように現実と正面から向き合い、数千億円の予算を投じて、プレパンデミック・ワクチンを全国民分、備蓄するのが最良のリスク・マネジメントだろう。結果的にワクチンが使われない事態が生じたとしても、千円のために命を危険にさらしたい人はいないから、無駄遣いとそしられる恐れはない。(無駄遣いなら他にいくらでもある。)
いずれにせよ、すでに60%の致死率で世界中で鳥インフルエンザの犠牲者が出ている以上、スイス、アメリカ、カナダ並みに徹底した対策を講じる必要がある。それも緊急に。
与党の作業チームは発足したが、どれだけ迅速に結果が出せるだろうか・・・。
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