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コマネチNY珍道中(2)

授賞式の喧騒から一晩。
そろそろたけしさんもスタッフ一同も成田に着いた頃だろう。

たけしさんは、その足で番組の収録だって(汗)

オレだったら完全にダウンしてるところだが、やはり、精神力も体力も比べ物にならないや。凄い、の一言。

さて、珍道中の第二段です!

***

行きの成田のタクシーだが、途中、高速でボンネットが開きそうになり、慌てて路肩に駐車して難を逃れた。荷物を積むときにトランクではなく(誤って)ボンネットを開けていたらしい。この慌て者め。その後、成田に着いて料金を支払おうと思ったら、
「さっき一万円札を出されて、千円札がなくなってしまって」
と言われた。

ええええ? 最初から、成田まで行くって予約してあったはずなのにぃ〜。
時間がなくて焦っていたので、
「わかった。運転手さん、ご祝儀だ。釣りはとっとけ!」
と、江戸っ子丸出しで車から降りた。←カッコイイようだけど、心では泣いていたりする

まあ、ボンネットが全開になって事故にならなかっただけ運が良かったとしよう。

***

授賞式当日は、午前中に目が覚めて、中村センセと一緒にアメリカ自然史博物館に行った。
ところが、オレは地下鉄は乗らないので、路線が全然わからない。
そこで、中村センセが持っていた地図を頼りにDという路線に乗ったら、途中から「急行」になってしまい、博物館なんか素通りして、どんどん上に行き、たしか126番道路まで行ってしまった。

うーん、だからオレは地下鉄が怖いのだ。どこに連れていかれるかわかったもんじゃない。

しかたないので、そこで乗り換えて、今度はBという鈍行の路線に乗って、かなりの時間のロスはあったが、なんとか自然史博物館に辿り着くことができた。

そこで中村センセの隠れた素顔が明らかになった。

お、恐ろしい・・・あの飄々とした数学者が、このような趣味をもっていようとは・・・。人は見かけによらないとはこのことか。

実は、中村センセ、大の「石マニア」だったのだ(笑)

それも隕石から普通の石っころから宝石まで、なんでもござれで、とにかく何時間も石の部屋から離れようとしない。

オレも石が嫌いというわけじゃないが、なにしろ、どの石を見ても同じに見えるので、やがて飽きてしまった。(石マニアのみんな、ゴメンね!)

でも、中村センセは、すべての展示物の写真を撮影し、その展示の仕方の妙味と石の表面の滑らかさや元素の輝きや酸化物の色の黒さなど、「おお、美しい」などと感嘆の声をあげながら、食い入るように石を見つめていて、しまいには周囲に(遠足に来ていた)子供たちの環ができそうになった。

「このオジサン誰?」
「知らなーい」
「中国人かしら」←ホントの発言
「日本人みたい」
「中国人と日本人のどこがちがうんだよ」
「なんとなく」
「石の専門家なのかな」
「科学者っぽくないよ、この人」
「独り言いってるから、きっと科学者だよ」

うーん、アメリカの小学生の感覚って、昔と変わってないなぁ(汗)

中村センセも怖いが、アメリカの小学生も怖い。

***

結局、自然史博物館の石の部屋には三時間ほどいて、そろそろホテルに戻ってタキシードを着ないと間に合わなくなってきたので、急いで(やはり地下鉄で)ホテルに戻ったような次第。

***

その後、ホテル57でみんなと待ち合わせて、いざ、リムジンに乗ろうとしたら、運転手が訳のわからないことを叫んでいる。

「Who's in charge here!?」(担当者は誰なんだよ!)

大勢いて、誰と話していいかわからないんだよね。
でも、スタッフの一人は「charge」という言葉で「支払い」と解釈したらしく、話が通じていないようだ(汗)

こういうのは、結構、苛つく。NYの運転手は、全て金なんだよ。金をケチられそうだったり、支払いに不安があったりすると、文句の言い通しで、運転も荒いしサービスも悪い。だから、ちゃんとしたサービスが受けたかったら、事前にちゃんと事情を説明し、ついでに少し脅しをかけて、こちらの意のままに操縦するのがコツなのだ。(帰国子女談)

オレだったら、こんな感じで脅す。

「LOOK, it'a very special day for us. We are attending the International Emmy Award, for god's sake!  You watch television? Huh? Are you gonna ruin the best moment in my life? Huh? Listen carefully, MISTER. You make me happy, (then) I make you happy. You make me unhappy, I promise, I make you feel very bad. You got that? Huh?」

で、そこまで言ったら、相手の言葉を遮って、「●ドル払う」と、にっこり笑って、具体的な金額を提示して、ドーンと25%くらいチップを渡すことにすれば、運ちゃんは、ガラリと態度を変えて、信じられないように演技を始めるってわけなのさ。

それがNYの運ちゃんお決まりのパターンだ。

で、スタッフのAさんに、
「金払えってことですよ」
と忠告したのだが、
「それはわかってますよ」
と言われたので、運ちゃんを脅すのはやめにした。AさんはNYに20回来たことがあるそうで、NY通を自負している(汗)ここら辺は、プライドの問題がからんでくるので、オレが出しゃばるとまずい。

(英語がしゃべれる日本人の前と日本語がしゃべれる外人の前では、決して英語を話してはいけないー帰国子女談)

もう、完全にまかせてくれれば、オレが全てうまく話してやるのに・・・。

***

案の定、「定額」で車を運転することになり、運転手のその後の行動は目に余るものとなった(笑)

***

さて、パーティ会場では「サイレント・オークション」なるものをやっていて、野球とかアメフトの有名選手のサイン入りグッズなどが並べてあって、名前と金額を書き込むようになっていた。

そこで吉田Pの意外な素顔が明らかとなった。吉田Pは独身なのだが、なんと、マリリンモンローの熱狂的なファンなのだという。で、マリリンモンローのサイン(小切手なんですけど(汗))が4千ドルで出ていたのだ。

「吉田さん、セリに参加したらどうです」
「まさか、50万円ですよ」

その後、吉田さんがその場を去ってから、他のスタッフが、
「吉田って書いちゃえよ」
「え? いいんですか?」
「だって独身だろ?」
と、酔いに任せて冗談を言っていた。実際にペンまで持っていた。考えようによっては、怖い光景なので、オレは、黙ってその場を後にした。

***

バンケットの前のパーティでは、主に非英語圏のテレビ関係者たちが大勢、たけしさんのところに挨拶にきて、名刺を渡したり、一緒に記念撮影をしたりしていた。

みんな、ベネチアの金獅子賞とカンヌの監督賞のことを知っているんだ。

さすが、世界の北野。

今、これだけ世界で評価されている文化人はなかなかいないよ。

この時点では、事前の試写会の「コマネチ」の評判がすこぶる高く、逆にイギリスの番組は「ようするにスター誕生じゃん、ありきたりじゃねぇ?」という評価だったので、オレは、事実上、スペインとコマネチの戦いだと踏んでいた。

(続く)









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