ベイズ確率(その1)
ベイズ確率、ネットでかなり盛り上がってますなぁ。
一部の人からオレがやり玉にあげられているので(汗)、ちゃんと解説しておこう。
まず、問題は、
「5回に1回の割合で忘れ物をする癖のある人がいる。A・B・C・Dの4箇所を回って家に帰ったとき、忘れ物をしたことに気づいた。2番目のBに忘れてきた確率を求めよ。ただし、忘れ物をしたのはどこか1箇所のみ」
というもの。
番組では、事前に「5回に1回の割合で忘れ癖がある」という情報だけがあり、その後、立ち寄った四箇所の「どこかで忘れた」という新たな情報に気づいたので、確率が変化した、という点を解説したつもりだ。
肝心な点は、忘れたことに気づく前は、確率計算は、
Aで忘れる確率=1/5
Bで忘れる確率=Aで忘れないでBで忘れる=4/5×1/5
Cで忘れる確率=AとBで忘れないでCで忘れる=4/5×4/5×1/5
Dで忘れる確率=4/5×4/5×4/5×1/5
AからDで忘れない確率=4/5×4/5×4/5×4/5
であり、総和は1になることと、忘れたことに気づいた時点で、最後の可能性がなくなったことだ。確率は総和が1になるのが定義なので、AからDまでを足して、その可能性を「1」に規格化し直さないといけない。計算上は、Bの数値をAからDまでの和で割ればいい。
***
なぜ、この問題で議論が沸騰しているかといえば、「ベイズ確率は何を意味するのか」という思想的なことが関係している(ように思われる)。
競馬の例やモンティ・ホールの問題では、たしかに、馬の戦績や賞品が入っている場所の情報が皆無の場合、等確率から出発するほかない。事前情報がゼロだからである。
しかし、コマネチの問題の場合は、「4箇所のどこかで忘れる」というところから出発する必要はない。なぜなら、「1/5の割合で忘れる癖がある」という立派な情報があるからだ。そこから出発すればいいだけのこと。というより、「どこでも忘れない可能性もある」のだから、すべてが「1/4」という事前確率は・・・ダメだよね。
競馬やモンティ・ホールの場合は、必ず1つが当たり、という条件があるので、事前確率は等確率から始めることに意味がある。
コマネチでやった問題の場合は、事前にわかっているのは、「1/5の割合で忘れる癖がある」という情報だけである。
と、ここまで書いてきて、議論がかみあわない理由(?)にようやく思い至った!
おそらく「忘れ物をしたのは、どこか一箇所のみ」という表現が悪かったのではあるまいか。オリジナルの問題では「帽子」を忘れたことになっていた。問題文の最終表現がチェックできなかった責任は私にある。ロケのシチュエーションなどから、「帽子」とできなかったのが、あいまいな表現へとつながり、誤解を生んでしまった。素直に謝りたいと思う。
ココに問題のオリジナルと明快な解説があるので、是非、参考にしてみてください。(ただし、四軒ではなく三軒になっています。四にしたのはコマ大チームが四名だからです)
(続く)
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