原発報道
イタリアのセリエAのカターニアが来日を中止した。海外での報道の不正確さが浮き彫りになった。
柏崎刈羽原発の放射能洩れは、東京電力の情報開示とトップの対応のまずさにより、日本国内でもネガティヴ・キャンペーンの様相を呈している。
実際の放射能洩れは、人体には全く影響がないわけだが、人間の原初的な心理(=恐怖)だけが、増幅されて、独り歩きをしている。
NEWS ZEROでは、努めて「それでも原子力発電に頼るしかない」現状を付け加えるようにしているが、各局のコメンテーターの中には、「原発はやめて太陽光発電にすべき」などと安易な発言をする人もいる。
日本にお金と土地が有り余っているのであれば、それでかまわないと思う。
しかし、現状では、石油は(地球温暖化に歯止めをかけるために)やめろ、原子力発電は怖いからやめろ、ということになり、その代替案が太陽光発電と風力というのでは、あまりに無責任な発言といわざるをえまい。
おおまかな試算だが、参考になる数字がある。
原発一基分の発電をするのに、太陽光発電だと費用が6兆円で、必要な面積は山手線の内側全部。風力発電だと費用が1兆円で、面積は山手線の内側の3.5倍。
原発一基のコストが3千億円であることを考えると、今の時点で、太陽光発電と風力発電が「代替」にならないことは明白なのだが、この事実を認識している人は驚くほど少ない。
単なる試算じゃないか、という意見もある。たしかにそうだ。だが、そうならば、この試算の「桁」がまちがっている、という科学的・経済的な説明をしてもらいたいのだ。
技術革新で太陽光発電や風力発電のコストが大幅に下がり、必要とされる面積が何桁も小さくなるのであれば、原子力発電から太陽光発電に切り替えることに大賛成である。電力各社も、国民の潜在的な恐怖を払拭できて、好都合だろう。
日本のエネルギー政策は、「にっちもさっちもいかない」状態に陥っている。エネルギーが足りなくなれば、経済は崩壊する。だが、みんな、原発への恐怖は感じているが、経済崩壊の危険は感じていない。
核融合が実用化されれば、こういった問題は、すべて解消されるだろうが、道のりは遠いようだ。
実は、個人的には、水素社会というシナリオが、実は「代替案」なのではないか、と考え始めているのだが、本当に代替になるのかどうか、まだ見極めがつかない。
ちょっと勉強が必要だ。
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