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潰れちまった二つの夢

マレーシアは、マハティール元首相のもとで、驚くべき経済発展をなしとげたが、ヘッジファンドという妖怪のせいで、一時は挫折を余儀なくされた。

今回の訪問で私が感じたのは、ヘッジファンドとは別に、アルカイーダによる2001年のアメリカのテロ事件がマレーシア経済に及ぼした影響だ。

イヴリンというフィリピンからの移民がいる。彼女は、単身、フィリピンから外国に出稼ぎにゆき、いくつかの国を経て、マレーシアのランカウイ島に行き着いた。そこで結婚し、長年貯めたお金で、町に小さな工芸品店を開いた。

店はマレーシア経済の発展とランカウイ島の観光の発展により、順調に売り上げを伸ばしていた。
そして、もう少しで開店資金などを回収できる、という時に、「それ」はやってきた。

アルカイーダのテロを機に、欧米からの客足は一気に遠のき、イヴリンの店にも客はやってこなくなった。

独立して店をもとうという彼女の小さな夢は、彼女の努力とは全く関係のないところで起きた事件により、泡のように潰れた。

小さな夢のあとに残ったのは、借金と、売れ残った工芸品だけ。

フィリピンの家族に仕送りを続けるために、彼女は、ホテルに再就職した。

***

「神の手」をもつJはもともとマレーシアの生まれだ。

彼は充分な教育を受けることができなかったが、マッサージの勉強をし、そこに自らの才能を発見する。
やがて、タイ式マッサージ(「怠け者のためのヨガ」)の勉強から、本格的にヨガにのめりこんでいった。

Jのヨガは、独特のオリジナリティをもっている。

それは、彼のマッサージ同様、天賦の才としか形容することができない。

K妻はプロのインストラクターで、都内と横浜でヨガを教えているが、彼女はJから学ぶことが多いという。

そんなJにも小さな夢があった。自分のヨガ教室を開くことである。実際、彼は、マッサージで貯めたお金を元手にヨガ教室を開いた。現地の生徒も外国からの生徒も集まった。

だが、やはり、アルカイーダのテロを機に、小さなヨガ教室に外国人はやってこなくなった。貨幣価値の関係で、外国人の生徒なしではヨガ教室はなりたたない。

彼は、教室を閉じて、ホテルのマッサージ師に戻ることを余儀なくされた。

***

彼らの上司は、学歴はあるものの、独創性に欠け、人間の中身よりも肩書きだけで判断するような類いの人々だ。

そういった才能のない、だが、肩書きのある人々から頭を押さえつけられて、彼らは、潰れてしまった小さな夢とともに、毎日を必死に生きている。

テロを政治的な観点から正当化する人がいるが、そういう連中は、潰された小さな夢など、眼中にないのだろう。

***

「いつかまた、工芸品店が開ける。絶対にできる」

「ヨガのマスターの資格をとったら、日本でオレが本を出せるよう出版社を何軒でも廻る」

二人は私の友だちだ。

彼らは、いつも、私と妻の潰れてしまいそうな心を救ってくれる。

だから、私は、恩返しとして、彼らの夢をふたたび軌道に載せる手伝いをしたいのだ。

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