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書評

「今週の3冊」(日経水曜夕刊・エンタテイメント読書欄)は、たまに日曜版と重複することがあり、用意していた原稿が使えなくなることがあるため、ここにボツ原稿を掲載します。(できればシステムを改善してほしい!)

★★★★

なぜこの方程式は解けないか?
マリオ・リヴィオ著 
(早川書房・2200円)

「対称性」の考えは科学に欠かせない。本書は、その背後にある「群論」という数学の分野に光をあてている。
 誰でも、学校で二次方程式の解の公式を教わった憶えがあるはずだ。三次方程式や四次方程式にも解の公式は存在する。だが、不思議なことに、五次方程式になると、もはや解の公式は存在しない。そして、解の公式が存在しないことが、群論へとつながる。
 一章と二章は、少々冗長だったが、三章以降が抜群に面白く、ぐぐい引き込まれてしまった。
 二人の天才数学者の評伝は際立っている。
「どう言ったらいいだろう。二十の若さで死んだ男のことを。彼はロマンチックで、天才だった。彼が愛していたもの、それは数学。そして諍いと自滅でその男は果てた」(=ガロア)
「どう言ったらいいだろう。二十六の若さで死んだ男のことを。彼は内気で、天才だった。彼が愛していたもの、それは数学と演劇。そして貧困がその男を死に追いやった」(=アーベル)
 ルービック・キューブの話題や超ひも理論の対称性まで解説されていて、お得感がある数学書に仕上がっている。斉藤隆央訳。(竹内薫)

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