リトヴィネンコ
今、偶然、周囲に大勢のロシア人がいる環境にいる。
アレクサンドル・リトヴィネンコの毒殺は、彼らの間でホットな話題になっているよだ。
プーチン政権が、いったい、どこで「脱線」したのか、わからないが、健全な国際感覚を失って久しいことだけは確かだろう。
日本人漁船員が、ロシア国境警備隊による銃撃で死亡した事件も記憶に新しいが、日本政府は、ほとんど抗議といっていい抗議もしないで、事件はうやむやのまま終わったように見える。
反体制派のジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤの暗殺は、国内で行なわれたものだが、今回はイギリスにおける暗殺であり、プーチン政権は一線を越してしまった感が強い。
もちろん、いずれの事件にもプーチン政権は関与していない、というのが公式の立場だが・・・。
日本は、ロシアからの石油と天然ガスのエネルギー供給に大きく依存している。サハリン1もサハリン2も国策によるエネルギー戦略の要だったわけだが、サハリン1では天然ガスを中国に奪われ、サハリン2もロシア政府のごり押しにより、先行きが不透明なままだ。
日本は、その意味で、ロシアにエネルギー面で弱みを握られており、そのため、理不尽な仕方で日本人の命が奪われても、強く抗議できない、という状況が生じている。
それにしても、ポロニウムを使うなんて、冷戦時代の東ドイツが毒殺に放射性元素を使った事例があるものの、とてもじゃないが、正気の沙汰とは思えない。
いったい、どこでポロニウムをつくって、「塩」の形態に加工したのだろう?
学校の物理学の授業で、ラザフォードの実験を教わる。
アルファ線は、アルミ箔で簡単に遮へいできるが、いったん、経口摂取すると、今回のリトヴィネンコのように死に至る猛毒と化す。
治療法は存在しない。
エネルギーを武器に、隣国(グルジア)を圧迫し、反体制派をどんどん暗殺してしまう政権とは、いったい、何なんだろう?
日本は、北朝鮮問題だけでなく、実は、すでにロシア問題も抱え込んでいるのである。
今後数年で、恐ろしい事件が起きないことを祈るばかりである。
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