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巨神兵の気持ち

ヴン、ヴン、ヴヴーン、ゴォー!

一日おきくらいに、私は耳をつんざくような排気音を出しながら、マスクで顏を隠して、ひたすら爆走する。

長いものを「蛇」と勘違いしているのか、伍長も軍曹も、逃げ惑いつつ、いつのまにか塹壕に退避してしまう。

そうだ、私は、この世界の覇者なのだ!

***

力を込めて、寝室の端っこの三角地帯に踏み入ったとき、突然、異変が起きた。

「あ、やべぇ」

私が茫然と立ち尽くしていると、台所からK妻がやってきた。

「どうしたの」
「強く引っ張ったら、ホースが切れちゃった」

***

しかたないので、ホースだけ取り外して、かばんに詰めて、ヨドバシに行った。

いろいろ文句いわれたり、どうしてホースが「取れた」のか、追求されたときのために、脳内シミュレーション回路をフル稼働させて、あらゆる状況に対処できるよう準備をした。

カウンターで、私は、いちばん「与しやすい」であろう若手の従業員と戦うことにした。戦いは、常に勝たねばならぬ。申し訳ないが。

「あのー」
「はい、なんでしょうか」
「5月にオタクで掃除機を買ったんだけど、もう、ホースが切れちゃったんだよ。ふつうに使ってたつもりなんだけどさー。どうするつもり?」

嫌味たっぷりに相手を脅す。これ、常套手段だよね。相手がひるんだ隙に、まくしたてて、「手ごわいクレーマーだ」と思わせるにかぎる。

「はい、申し訳ございません! すぐにお取り換えいたします」
「・・・」

***

数分後、まるで暖簾に腕押ししたかのごとく、すべての脳内戦闘シミュレーションが無駄に終わってしまい、私は、タダで保証してもらったにもかかわらず、正体不明の欲求不満を覚え、この世界で生きることの難しさを改めて感じていた。

(これって、「ナウシカ」で、巨神兵が殺せずに欲求不満に陥ったのと同じ心境かしら)

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