仮説本
仮説本の冒頭の「つかみ」の部分は、数年前に航空関係の世界で話題になった、アンダーソンとエバーハートという人の本の話だ。
イギリスの科学誌ニューサイエンティストとか、ディスカバリーといった雑誌にもとりあげられたので、科学界でも話題になった。
一般に流布している説明が科学的にまちがっている、というのは、意外とある。
たとえば、陰極線で羽根を廻す実験も、十年ほど前に話題になったが、教科書に書いてある説明は完全にまちがっていた。
また、それとは別に、科学的な説明の限界というのもある。
一般に複雑系の場合、方程式が非線形で事実上解けない、という状況はざらにある。
ところが、そういった、いわば原理的な計算限界のようなことをきちんと説明しないで、あたかも「すべてわかっている」かのような、はしょった説明というのも多いのだ。
その意味で、飛行機が飛ぶ、という何気ない現象の背後に、どのような科学的な説明があるのか、そして、その「説明限界」がどこにあるのかを知ることは、いい頭の体操になる。
似たような問題に、摩擦の原理がある。「竹内薫の科学コラム」でもとりあげたが、摩擦なんていう、いかにもあたりまえの現象も、いまだに詳細がよくわかっていなかったりする。
分子レベルから、摩擦係数が導けないんだよ。
だから、「経験的」に数値を仮定することになる!
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世界のほとんどは、そういった経験と試行錯誤で廻っている。(別にそれでかまわないのだ)
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アンダーソンとエバーハートの本に出会ったきっかけは、さる老物理学者から連絡をもらって、この本を翻訳したいので出版社を紹介してくれ、という依頼があったからなのだが、すでに版権が取られていて、企画はボツになった。
なのに、いまだに翻訳が出ていないような気がするのだが、いったい、版権をとった出版社は、この話題本をどうしてしまったのだろう? 訳者がなまけているのか?
どなたか、ご存知ありませんか?
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