電車奇行
ここのところ打ち合わせの行き帰りの電車の中で奇妙な光景を目にすることが多い。
その1 踊る女
都営浅草線に乗っていたら、発車間際に隣の女性が立ち上がって踊り出した・・・のではなく、向かいのホームにいた友人に手を振っていたのだった。だが、あまりの挙動の大きさに乗客たちの視線が釘付け。
その2 降りる
同じ電車の中。件(くだん)の女性の踊りを笑いながら見ていた男性が、突如、扉に向かって突進を始めた。どうやら、この駅で降りるはずが、女性の挙動に気をとられて遅れたらしい。だが、扉が閉まった時点で電車の外に出たのは首から上だけ。オレは、それをみて、K妻の耳元に、
(きりんみたいだよ)
と囁いた。
傍にいた乗客が扉を手でこじあけたが、少なくとも10秒くらい、きりん状態の男の人は、手足をバタバタさせていた。
恥ずかしかったのか、助けてくれた人にお礼も言わずに逃げるようにホームを駆け去った。
原因となった踊る女性は、それを見て、
「まっ」
と非難がましく口に手をあてていた。
その3 つり革
ラッシュ直前の山手線で渋谷で降りようとしたら、扉の真ん前のつり革に捕まっていた女性が、山のごとく動かない。
(一度、降りてからもう一度乗ればいいじゃねえか)
みんなで押し出そうとしても、なぜか、必死につり革に捕まったままで、ほとんど身体が浮いてしまった。オレは、それを見て、K妻の耳元に、
(サンドバッグみたいだね)
と囁いた。
その4 きっぷ
グリーン車に乗っていたら検札にきた。
オレの斜め後ろに座っている女性に車掌さんが声をかけた。
「お休みのところすみませんが、切符を拝見しまーす」
すると、その女性は、とげとげしい声で、
「あなた、さきほど検札に来たでしょう。忘れたの」
オレは、K妻がいなかったので、小さな声で呟いた。
(忘れたから検札に来たんだよ)
お後がよろしいようで・・・。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
この記事へのコメントは終了しました。
コメント