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小さな世界

「ねぇ、パパ、今度のおうち、とても暖かくて居心地いいね」
「うん、そうだな。偶然見つけたのだが、食料も当分は持ちそうだしな」
「前にテレビでチョコレートのおうちを見たことがあるけれど、本当に壁が食べ物でできているおうちってあったんだね。本当によかったね」
「ちゃんと食べておきなさいよ」
「はーい」

***

「けっ、こんなうち、いますぐ、おんでてやらぁ」
「ああ、この親不孝もんめが、もう帰ってこなくていい!」
「バカヤロー、このおいぼれのケチじじい!」
「出てけ!」

数分後、少年は、悪態をつきながら川べりを歩いていた。気がつくと目の前にひっくり返ったカップラーメンの容器が転がっている。汁が出ているところを見ると、誰かが食べかけを棄てたようだ。

「けっ、くそ面白くもねえ!」

少年は、自慢のサッカーの足技を繰り出して、そのカップを蹴り上げた。
カップは美しい抛物線を描いて、そのまま川に落ちて、流れていった。

「あれ? 今、悲鳴が聞こえたような気がしたけれど・・・気のせいか・・・ふ、なんだか、急にむしゃくしゃする気分が失せたな・・・」

禍福はあざなえる縄のごとし。
虫の親子は溺れて死んだ。
少年は、虫の親子のささやかな幸せと引き換えに、しばしの心の安寧を手に入れた。

***

よくある話ですなぁ。
月並みなストーリー構成ですみません。
今日はブラックな気分なので、即興で書いてみました。

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» 2005-11-03 [来夢望瑠_日々平凡]
ショート・ショート 「小さな世界」by 竹内 薫さん http://kaoru.txt-nifty.com/diary/2005/11/post_69a8.html うわーん、わおーん、し、しんみり..... (T_T) 「シンクロシニティ」とはオーバーかもしれませんが、昨日、 小生は、非難訓練場所の芝生の上で「バッタ」の命を救いながら (バッタの存在に気がついていないその他大勢の人間の足にふみつけられないように:-) その「偽善」にも気がついていました。 その場で確かにオメエはその「バッ... [続きを読む]

受信: 2005年11月 3日 (木) 14時02分

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