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原子力

環境派で自然派の私がどうして原子力について積極的に発言するのかといえば、その理由は簡単だ。

もちろん、誰だって、原子力発電を全廃して、いまさら石油を燃やせとは言わないだろう。
水力発電もまたしかり。

エネルギー生産は、常に環境破壊をともなう。

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そこで風力発電のような代替発電が持ち出されるのだが、私は、基本的に環境への影響の少ない代替発電には賛成だ。どんどん進めればいいと思う。
実際に、経済産業省も、そういう方策をとっている。

問題は、代替発電で原子力発電のぶんをまかなえるかどうかである。

現状では、それは不可能だし、十年後も不可能だと思う。

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核融合の研究が遅々として進まなかったことが大きな誤算だったのかもしれない。
三十年前だったら、今ごろは核融合炉が稼働していると多くの人が予想していたはずなのに。

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日本の原子力発電には二種類ある。
その意味は所轄官庁がちがう、という意味であり、稼働中の原子炉と実験炉という意味でもある。

高速増殖炉については、いろいろ勉強してみたが、アメリカやドイツが早々と開発を断念し、最終的にフランスがあきらめた時点で、よほど画期的なブレークスルーがないかぎり技術的に不可能だと私は判断した。

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高木仁三郎さんの「原発事故はなぜくりかえすのか」は、以前、授業で使わせてもらったことがある。名著だと思う。

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エネルギー問題は、経済と直結しており、経済は治安や戦争やテロと直結しており、日本の場合、そのエネルギーの3割を原子力が担っている。

しつこいようだが、私は環境派なのであり、たとえば、諌早湾の問題についても、「環境破壊」の愚鈍な判断だったと主張し続けている。また、その際の御用学者たちの醜い振るまいに怒りを覚えている。長崎県と農水省の見解は、言い訳以外の何者でもない。

そんな私が原子力「推進派」のように見えるので戸惑う人も多いのかもしれない。

エネルギー問題は、日本にとっては、死活問題であり、経済が破綻すれば、一歩まちがえば、大勢の人が死ぬ事態を招くことになる。

原子力の問題は、科学の側面、歴史の側面、技術の側面、経済や政治や「利権」の側面、そして安全性と環境の問題などから、広い視野で考える必要がある。

敵か味方か、というような二極思考では乗り切ることができない問題なのだ。

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もちろん、原子力にはもう一種類ある。三番目の原子力、それは大量殺戮兵器としての原子力である。

将来、代替エネルギー技術にブレークスルーが起きて、原子力に頼らなくてもよくなったとしよう。

その場合、日本は原子力を全廃するであろうか。

私は、それはありえないと思う。

なぜなら、原子力発電の技術には、常に軍事転用の可能性が含まれているからだ。この点は、嘘をついてはいけないと思う。現在、世界各国で同じような問題が生じているではないか。

今現在、日本の周辺国では、韓国を除いて、全ての国がなんらかの形で核兵器を保有している。
そして、残念ながら、そういった国の多くが未来永劫、日本の友好国である可能性は高くない。

われわれは、周囲を厖大な数の核兵器で囲まれているのだ。

原子力の平和利用を考える際には、平和でない利用がどういうものなのかも視野に入れておく必要がある。

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唯一の被爆国である日本は、今、真剣に原子力について考えるべき時期にきているように思う。

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