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ルネサンス人

活字の仕事をしている人間てェやつは、日本以外の先進国だと、それなりに尊重される気がする。

前にも書いたけど、アメリカに旅行したとき、入国管理官に職業を訊ねられて、「Science Writer」と答えた瞬間、相手の顏が柔和な笑顔になったのが衝撃的だった。
イギリスのネイチャー誌やアメリカのサイエンティフィク・アメリカン誌なんかの編集者ともなれば、科学界からも丁重に扱われる大きな存在だ。

先進国ではジャーナリストの地位も高いのがふつうだ。
マスコミが第三の権力と呼ばれているし、社会的な責任も重い。

日本はどうかといえば、(サイエンスライターも含めて)ジャーナリストも「おまえらは主役じゃない」てな雰囲気が漂っていて実に不思議だ。
日本以外の先進国で新聞記者やジャーナリストに向かって尊大な態度で接する政治家は、即、命取りだと思うが、日本の政治家の言動をみていると、ジャーナリストを小馬鹿にしている連中が多いことに、あらためて驚きを隠せない。

情報は発信しなければ情報でないわけで、その発信を担っている人々を小馬鹿にしていたら、うまく世間に情報は伝わらないではないか。

最近、活気のある企業の多くは、「中身のないIT産業」などと揶揄されているが、実際は、「インターネットという新しい情報の担い手」なわけで、見方によれば、現代社会では、情報発信を握っている者が覇権を握りつつあるのだといえなくもない。

***

不思議でしょうがないのが、作家の格付けである。

この業界に身を置く人間なら誰でも知っていることだが、作家には偉い一流作家からオレみたいな三流作家まで、厳然たる格付けランキングが存在する。

横綱 歴史小説家←アンタは偉い!
大関 純文学系作家←アンタも偉い
小結 ノンフィクション作家←少し偉い

ここまでが一流。
で、お次がミステリー作家ときて、SF作家は、おそらく前頭の下位になって、どう考えてもエッセイストやサイエンスライターは幕内にはいない。(つまり、事実上、「作家」と呼ばれるかどうかの差だ!)

なぜ、科学系の作家が「作家」として扱われないのか、実に不思議だし、なぜ、歴史小説を書くと偉いのか、その理由も不明だが、こういった内部感覚は厳然と存在する。

「ライター」というのは英語では「作家全般」を指す言葉だが、日本では、ライターというのは作家よりも低い響きがあるのだ。だから、サイエンスライターや科学ライターとは言うけれど、科学作家という言葉は存在しない。

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このような傾向と関係しているのかどうかわからないが、日本という国は、いわゆる「ルネサンス人」タイプを嫌うようだ。
ルネサンス人というのは、ようするに「なんでも屋」のことである。
ジャーナリストやサイエンスライターてな職業は、そもそも「博識の蛸」てゆーか、「情報の八本足」みたいな性格じゃないと務まらないから、ルネサンス人の典型だろう。

よく「マルチ」というような言葉がつかわれるが、それに近いかもしれない。

IT産業の旗手と呼ばれような人たちも、ある意味、ルネサンス人的なビジネス展開をしているけれど、世間からは冷たい目で見られがちだ。

対照的に「一芸に秀でた」というべきか「専門馬鹿」というべきか、政治家は政治家なのであり、ルネサンス人とは程遠い。
小泉さんは歌舞伎やオペラが好きで、食通でもあるみたいだし、比較的ルネサンス人的だから「変人」とかいわれてしまう。

野球でいえば、ホームランバッターでもなく、剛腕ピッチャーでもなく、オールラウンド・プレーヤーという感じだろうか。

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なんでもいいけど、もうちょっとサイエンスライターの地位を高くしないと、生きるのが辛い。(それがオチなのかよ!)

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