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間翼

最近、オレは自分が右翼に「なった」のではないかと思うことが多い。
むかしは共産党や社会党にしか投票しなかったのに、気がついたら自民党に投票しているのだから。

おそらく、真実に近い分析は、オレが左から右に変わった、というようなことではなく、社会全体が「左翼」的な思想や行動に現実味を見出せなくなった、ということなのだろう。例によって、オレのようなちっぽけな個人は、社会の大きなうねりにそのまま翻弄されているわけだ。

いや、さらに真実に近い分析は、社会と文化の変動によって、「左翼と右翼」というフランス革命以来の概念がそもそも通用しなくなってきた、ということかもしれない。

認識論でも「主観と客観」という図式は「間主観」という概念で塗り替えられているし、それは物理学でも同じだから、おそらく政治思想だって「間翼」(?)てな感じに様変わりしているんだろう。

そんなことは政治学者や新聞記者や当の政治家たちには常識なのかもしれないが、こちとら政治の素人なので、どうしても、旧態依然とした概念枠で情報を処理しようとする。だから、うまく情況が分析できずに、「あれれ?」と困惑するはめに陥る。

***

産経新聞と朝日新聞を読み比べしていると、それでも、古い概念枠で分類したほうが位置づけがわかりやすく、アメリカの新聞との対応関係でいえば、それはワシントンポストとニューヨークタイムズの関係に似ている。

小泉さんの靖国参拝の問題では、産経新聞のコラムが指摘しているが、ワシントンポストのロバート・ノバクによるコラムのほうが、ニューヨークタイムズの社説に数段勝っていたと思う。(ここでの引用はシカゴの新聞になっている)
ニューヨークタイムズの社説だと、まるで、首相の靖国参拝が国民行事のようにテレビで放映されたかのような誤解を与えるし、論者が、この複雑怪奇な問題を、きわめて皮相的にしか理解していないことがすぐに看て取れる。

戦後60年の日本の歩みは平和国家そのものであったし、戦争で一発も銃弾を撃っていないし、アジアの脅威でもなんでもない。
戦後15年経ってから生まれた私にとって、くりかえし、生まれる前の戦争責任を追及されても、困惑するほかはない。(「生まれる前のことを言われても、私はどうすることもできません。タイムマシンをもっていないので」)

家永三郎の「太平洋戦争」と早乙女勝元の「東京大空襲」が学生時代のオレの戦争観の大元にあるのだが、爾来、隣国からの「反省しろ」コールを聞かされるたびに、オレの中での戦争観は、次第に変貌を遂げていった。

中国は大国であるし、国内の舵取りも難しい。
だが、中国が、延々と日本を仮想敵国として非難し続けることで、オレのような「親左翼的だった戦後人間」すら、どんどん中国を敵対視する心情へと突き動かされてゆく。

オレはカトリックだし、政教分離の観点から、首相の靖国神社参拝には反対であるにもかかわらず、それを隣国から「軍国主義」と非難されると、「なに言ってやんでぇ」という強い反発心が湧くのだ。
石原都知事じゃないけれど、「チベット問題はどうなっているのですか?」と訊ねてみたくもなる。

そもそも軍国主義とか帝国主義というのは、嫌がっている相手を軍事力によって無理矢理征服することを指すのではないのか。
だとしたら、戦後、日本と中国が外国に対して行なってきた行動をみれば、皮肉としか言いようのない情況だけが見えてくる。

国連の分担金を日本が20%近く払っていて、(アメリカを除く)中国、フランス、イギリス、ロシアの四大国の合計より多いなんざ、「てめえら、ふざけるな」と叫びたくなる。
日本を安全保障理事会に入れてくれ、というのではなく、そもそも、安全保障理事国なんて、廃止すべきだと真剣に思う。
なんて、金も払わず、威張ってばかりいるアンタらのために、オレたちが税金を払う必要がある? そう感じている国民は多いだろう。

***

というわけで、いまだに心の奥底では、左翼的な価値観に郷愁を見出しつつ、言動がどんどん右翼化してゆくオレのような一般人は、今後、どうすればいいのだろう?

まあ、オレの場合、頭が古いぶん、それなりにバランスのとれた行動が取れるかもしれん。

これからは、あえて、「間翼」主義者ということで行ってみよう。(「インター・ウィング」とでもいうのか?)

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