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プチ鬱

「なにしてるの?」(K妻)
「あん? 別に」(オレ)
「その手紙の束、まだ答えていない質問でしょ?」
「ちがう」
「どうちがうの」
「質問には全部答えた」
「あたし、手紙出してないわよ」
「うっ・・・じ、自分で宛名書きしたんだよ」
「うそ」
「なあ・・・これ以上、オレを追い詰めないでくれ!」←頭を抱えてしゃがみこむ
「大袈裟ねぇ」
「この何十通もの手紙の束が、四六時中、目の前にあることにより、オレの精神は、真綿で首を絞められるがごとく弱体化してゆくのだ」
「メールの質問には平気で答えてるじゃない」
「いいか、これはトラウマの問題なのだ」
「トラウマ?」
「そうだ、封書で五項目以上の質問を送ってきた人に返信したら、さらに十項目の新しい質問が送られてきた・・・あるいは、送られてきた独自説の論文の難点を指摘したら、ほとんどの場合、相手は激怒したし、そういうやりとりの直後にアマゾンの書評荒しがあらわれたり、迷惑メールがドッと増えた気がするのだ」
「つまり、特定のパターンの質問に返信すると、よからぬことが起きると思い込んでるわけね」
「とにかく、この未返信ファイルを目に見えないところに隠さないと、オレのプチ鬱が酷くなるのだ」
「じゃあ、いっそのこと捨てちゃえばいいじゃない」
「いいか、オレは、おまえとちがって、真面目で責任感が強い人間なのだ。だから、責任を放棄するようなことをすれば、良心の呵責に耐えられなっちゃうんだよ」
「ふー、無責任な性格で悪うございました」←アッカンベーをする
「・・・」
「あたし、ちょっと買い物に出てくるわ」←バタンと扉が閉まる

なぜだ、なぜ、こうなる。いったい、オレが何をしたというのだ! 誰か教えてくれ!
オレは、ふたたび、肩を落としながら、未返信ファイルの山を元の場所に戻したのだった。
プチ鬱状態は続く。

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