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共約不可能性ふたたび

講談社のAさんから電話があって、読者からの苦情がきていると言われ、ドッと汗をかく。

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毒舌・放言も出版だといろいろ禁止用語などあって大変になってきている。
表現の自由とのかねあいもある。
新聞などは毎週のように「禁止用語集」が廻ってくる、という話をさる新聞記者から聞いたが、単行本も大変な御時世だ。

いったい何が問題なのかと思いきや、「超ひも理論とはなにか」に書いたカルーザのことだった。
カルーザは私の好きな学者で、「万年私講師」で大学からは冷遇されていたが、宇宙の次元を増やす、という壮大なアイディアを論文にした英雄だ。
日本ならずっと非常勤講師をやっていたことにあたる、と書いたし、大学から「ダメ」の烙印を押された、とも書いた。

それを読んだ非常勤講師をやっている人から苦情が舞い込んだらしい。

ちょっと前にも書いたが、あらためて、「共約不可能性」の問題をつきつけられた感じがする。

つまり、私の文章の意図は、「カルーザを評価できなかった周囲の愚かさ」と「孤高の学者の偉さ」を強調する点にあったのであり、(当然だが!)非常勤講師を貶める意図など全くない。だが、手紙を書いた人は、まさにその反対の意味に受け取って(おそらく)傷つき、怒ったのだ。

難しいよね。

オレは、もう何十年も一匹狼で、肩書きのある地位ももっていないわけで、だいたい非常勤講師しかやったことがない。
寄るべきものをもっていない人間が、社会からどのような扱いを受けるのかなんて、オレ自身が、嫌というほど味わってきている。

言葉には常に両義性があるけれど、問題は、その刃がどちらを向いているかだと思う。

たとえば、大学の非常勤講師をやっている、という発言自体が、大学に行っていない人を傷つける要因になることだって充分にある。

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という次第で、文章の真意が伝わらず、傷ついて怒りの感情をもたれた読者には大変申し訳なく思うが、ここで解釈を明白にしたと思うので、どうかご理解をたまわりたい。

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講談社のAさんには丁重に返信してもらったので大丈夫だと思うが、ここに書いたようなことを重版の際に追記したほうがいいかもしれないな。

やれやれ、作家稼業も大変だよ・・・(心の中でつぶやく)

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